おいしいごはんが食べられますようにBy 高瀬隼子

あなたとあなたの友達の
共通の知り合いで、
大嫌いな人がいるとします。
あなたは、
その友人から、
大嫌いなアイツを
イジメてやろうよ、
と誘われたらどうしますか?

 舞台はカオスな会社。守ってあげなきゃ、と周囲の人に思わせる弱い人を演じている人が得をし、仕事がバリバリできてメンタルが強い人がひどい目に遭うという非常に不条理極まりないストーリーです。文章は、さすがに芥川賞の作家だな、と思わせる奇抜な表現にワクワクします。まるで映像を見ていて、目の前で登場人物の声を聞いているように、物語の中に吸い込まれてしまいます。ある日、社内でとんでもないイジメが起こり、普通はイジメられている人を読者は可哀想だと思うのですが、イジメている側の人の方が可哀想になるという不思議な感覚に取り憑かれます。登場人物の微妙な表現に、「あれ? この人は何を考えているんだろう?」とゾッとするのです。こういう感情のぶつかり合いは、現実の世界でも気づかないうちにたくさん起こっているのかもしれません。さらには、人間にレッテルを貼ることは、何と恐ろしいのでしょう! そして、イイ人のレッテルをゲットした人は、それを武器として、周囲の人をイリュージョンの世界に引き込み、自分だけが大丈夫な世界を作り上げているのです。あなたの会社にもそんな人がいるんじゃないですか? ズルい人に振り回されているあなたにおすすめの一冊です。悩んでいるのはあなただけじゃない。

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