『お気に召すまま』 By シェークスピア

全世界は一つの舞台だ。
そしてすべての人間は男も女も役者にすぎない。
逆境が人に与える教訓ほど
うるわしいものはない。
誠の恋をするものは、みな一目で恋をする。
男は言い寄る時だけが春で、
夫婦になってしまうともう冬だ。

               シェークスピア

フレデリックは兄を追い出し、地位や財産を自分の物にした。兄の娘であるロザリンドは手元に置き、自分の娘であるシーリアと一緒に育てる。三男のオーランドーは財産を長男のオリヴァーに取られ、悲惨な生活を強いられる。ある日、オーランド―は公爵が主催しているレスリング大会で優勝し、そこで会ったロザリンドに一目ぼれする。彼女はシーリアと仲良く過ごしていたが、公爵から追放を命じられ、シーリアと道化のタッチストーンを連れてアーデンの森に逃げる。このときロザリンドは男装して正体が分からないようにしていた。オーランド―もオリヴァーから逃れるために森に向かった。森には危険がいっぱい潜んでいて、オーランド―を探しにきたオリヴァーはライオンの襲撃に遭遇するが、オーランド―に助けられる。弟に助けられた兄オリヴァーは改心して、シーリアと結婚し、羊飼いとして暮らす道を選んだ。兄をたおすために森に入ったフレデリック公爵も改心して奪った財産を返上する。最後にはロザリンドとオーランド、オリヴァーとシーリア、羊飼いとタッチストーン、羊飼い同士の四組のカップルができ、ハッピーエンドとなる。

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 私たちは地球という大きな舞台で役を演じる役者です。テレビや映画のために作られた台本とは違い、結末が分からない台本に従って生きています。悲劇がハッピーエンドになるこの物語は、読んでいて頭の霧が晴れるような気分を味わう事ができます。エンディングから日本の『水戸黄門』を思い出しました。最初の一分を見たら、今日やっつけられる悪代官も、悪代官に虐められている町人もすぐに分かってしまいます。ハッピーエンドになるのが分かっていても、なぜか見てしまうんですよね。古い? あっぁ、年がバレちゃいますね。私たち人間にとって悪者が改心するのを見るのはとても爽快なんですよね。戯曲でも小説でも、作り物だと分かっていても、読む人は登場人物と自分を重ね合わせ、人生を追体験できるのは素晴らしですね。お勧めの一冊です。

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