『罪の余白』 BY 芦沢央__ぞっとする話が好きな人におすすめ

女子高生が校舎の四階から飛び降りて死亡した。
父子家庭だった彼女の父親の悲しみは計り知れない。
自殺だとされたが、納得のいかない父親は、
娘のパソコンに残った日記からイジメがあっとことを知る。

 物語は、加奈をいじめていた二人の女子高生の命令で、加奈が四階の校舎の手すりの上に立つところから始まる。彼女は、ほんの少しの間立っておくつもりが、誤って転落してしまう。加奈をイジメていた咲と麻帆は、イジメが発覚しないように知らん顔をしていたが、ある日、加奈が日記をつけていたのを思い出す。咲は、加奈の父親のようすを伺うために、クラスの他の子の名前を使って加奈の父親宅を訪問する。線香をあげるために来たことにして、加奈の日記がある場所を物色する。父親は娘のパソコンの中に入っている加奈の日記のパスワードを見抜き、偽名を使ってやってきた咲と一緒に、加奈へのイジメについて読むことになった。父親は咲と麻帆への復讐の計画を立てた。咲に麻帆を殺させて、自分の手で咲を殺し、自分も自殺するというシナリオであった。しかし、復讐劇は思わぬ展開となってしまう。物語はさまざまな視点から書かれている。加奈の父親、父親をサポートしている女性、加奈、咲、麻帆、の視点から展開される世界は、人間の悲しい嵯峨、残酷さ、傲慢さ、支配欲と服従、など、今の社会の縮図を垣間見ているようなタッチで書かれている。いつも良い子でいようとする奴隷、と、神のように崇められる支配者の関係が、切なさと悲しさと哀れみの表現になって心に突き刺さる。父親はなぜ見知らぬ訪問者に殺害計画を話したのだろうか? 父親が作ったストーリーの裏に潜むみごとなトリック、クライマックスに至る前の咲と麻帆の緊張感、咲の冷酷さ、神経を文字で読んでいるような切なさ万歳の読み応えのある作品です。

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<おまけ>

人間は罪を犯してしまっても、自分が原因だ、という思い軽くするために罪の余白を埋めようとする。いじめられていた加奈は、母親の命と引き換えに生まれてきたという罪の意識を常にもっており、母が生きていたらどうするだろうか、という母の視点で物事を判断し、自分で自分を責める癖があった。人が喜ぶ自分、人が納得する自分でいなければならない、という考え方は、自分の罪の意識を和らげる効果の副作用として人生を窮屈にする。

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