天網恢恢疎にして漏らさず! 神様は見ている

皆さまこんにちは! 今日は、日本昔話の「ウサギと亀」の話をリメイクしてみました。勝負の世界では正々堂々としていたいですよね。でも、どんなに汚い手を使っても勝ちたいと思う人もいるんですよ。そして勝利を手にしたとき、うしろめたさを感じてしまう。いや、そんなことは感じないで平然としている人だっているかもしれません。人間というのは不思議なもので、「私はそんなに汚いことはしない」と言っていても、どこかで人に迷惑をかけているものだと思います。そのひとつに、「見殺し」というのがあります。学校や職場で、イジメられている子を見て見ぬふりをしているのは、見殺しです。でも、自分に火の粉が降りかかってくるのが怖くて何もできないでいる人は少なくありません。「これくらいならいいっかぁ、みんなやってるから」と周囲に流されてしまうのも人間の困った性質です。神様が本当にいるとしたら、私達はいろんなところで罪を犯しているのです。天はそんな私達でも生かし、許してくれています。だから、私達も人を許して自由な心になりましょう。復讐心を発動させてはいけません。社会のルールなど人間界の掟が守れない人は、自然の摂理で淘汰されるか、矯正されるようにできているのです。

リメイク版・ウサギと亀の話

 昔、あるところにウサギのウサ吉がいました。ある朝、亀の亀太郎がウサ吉に逢い、「おはよう」と挨拶をしました。ウサ吉は亀太郎をからかってやろうと思いました。「おはようってのはおかしいよ。だって、おまえぜんぜん早くねーじゃないか」亀太郎は負けずに答えました。「何言ってんだよ。あんたみたいに、足が早くても、サボりながらやってたら、結局遅いのさ。ウサギとカメの話知ってるだろ」
 こんな話をしているうちに、どちらが早いか、山のてっぺんまで駆け比べをすることになりました。ウサ吉は自信満々で生意気なところもあるけれど、ちょっとだけ優しいところもあって、亀太郎にハンディーをくれました。ウサ吉は歩きのみで、亀太郎は走っても、ローラースケートや他の道具を使ってもいいというのです。「何も使わなくても俺が勝つ!」と亀太郎は言いました。ウサ吉は、意味深にニンマリと唇をゆるめていました。あいつの足に使えるローラースケートなんかあるはずがない。
 競争が始まりました。よーいドン。ウサ吉は、ゆっくりと歩を進め始めました。亀太郎は、のっそのっそと歩き、あっという間に、ウサ吉との距離は広がっていきました。ウサ吉の姿が見なくなった頃、亀太郎の後ろで声がしました。「よー、待たせな」声の主は、鷹のタカちゃんでした。「ほら、俺の背中にのれよ。一足飛びで山頂に到着だ」そう言って、タカちゃんは、亀太郎を背中に載せました。風を切ってビュンビュン飛んでいくうちに、下の方で、ウサ吉が歩いているのが見えました。約束を守って、本当に歩いていたのです。亀吉はちょっとやりきれない気分になりました。「あいつは俺にハンディーまでくれたのに、俺は卑怯なことをしている。でも、あいつが道具を使ってもいいって言ったんだからな。鷹のタカちゃんだって道具みたいなもんだ」
 ほどなく、亀太郎とタカちゃんは山頂に着きました。「よかったな。おまえの勝ちだ」というタカちゃんの顔を見て、亀吉はなんだか悲しそうな顔をしています。タカちゃんが「どうしたんだよ、嬉しくないのかい?」と聞くと、亀吉は、悲しそうな顔で、「俺って卑怯だな」と言いました。「こんなに早く着くと、ウサ吉を待っている間に汗が引いちゃうし、ズルをしたのがすぐにバレちゃうよ」「だったらさ、この山頂って、結構広いから、ここでジョギングでもしてたらどう? 汗かくから調度いいよ。タッチの差で勝ったことにしちゃえばいいじゃねえか。俺はこれで帰るぜ。あばよ」タカちゃんは身をひるがえして大空へと飛んで行きました。
 亀太郎がジョギングを始めようとしたら、木の後ろでカサカサっという音がして、ウサ吉が現れました。「おまえ達の話、全部聞いたよ。俺の方が先に到着してた。俺の勝ちだ」「え? なんで? あんたは歩く約束だっただろ?」「歩いたさ。ただし、途中までな。最後まで歩くなんて言ってないぜ」「じゃ、どうやって?」「そんなのは内緒さ。ま、タカちゃんよりもすごいマジックを使ったってわけさ。正直者はバカを見るのさ」
 その後、ウサ吉は、他のウサギから信用を失う行為を繰り返し、ウサギの国から追い出されました。亀太郎は、正直に生きることを決心し、亀の国の総理大臣になりました。

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