うさぎと亀の話__腐った根性で生きてきた亀、でも可哀想。

こういう奴って、
人間界でもいるよな?
勝つためには
手段を選ばない奴がいる。
最低のやり方だが、
確実に勝つ方法。

 昔々、ある森には意地悪でずる賢い亀が住んでいました。亀は、いつも自分が一番でなければ気が済まない性格でした。ある日、亀は森の中で大嫌いなうさぎに出会い、「おい、うさぎ! あんた、走るのが速いって有名だろ? でも、俺の方がもっと速いぞ。勝負しようぜ」と言いました。
うさぎは、「望むところだ。ルートを決めようぜ」と自信満々の様子。亀がどんなに汚い手を使うのか予想もしていませんでした。亀は、「あそこまでだ。」と指差した山の頂上まで走ることを提案。「わかったよ。じゃあ、スタートだ」
亀とうさぎは、スタートの合図とともに走り始めました。最初の数メートルで、うさぎは亀を引き離し、心の中では馬鹿にしたような目で亀を見ていました。表面的にはいつもいい顔をしているうさぎですが、中身はドロドロなのを亀は知っています。そういう亀もまた偽りの仮面を被っていて、休憩をとっていたウサギに優しく声をかけました。「疲れたね。よかったらこれを一緒に飲んで休憩しようよ」と言って、自動販売機で買ったジュースを二人で一緒に飲みました。自動販売機でよく見かけるジュースなので、何の疑いもなく、ウサギはジュースをゴクゴクと飲んだのです。さあ、再出発です。ウサギは亀に「ありがとう」とお礼まで言うお人好しで、純粋な性格なのが困ったところ。しかし、走っていると、亀の方に異変が起こりました。お腹が痛くなって歩くことすらできなくなり、公園のトイレに引きこもって出なくなってしまったのです。トイレのドアの向こうからウサギが亀に話しかけてきました。「ジュースに下剤を入れただろ? そんなクソみたいな罠に俺はかからないぞ。おまえがよそ見している間に俺のジュースとおまえのジュースを取っ替えてやったのさ。汚いことするなよ」すると、亀が涼しい顔をしてトイレから出てきて、ニヤニヤしています。「俺、下痢なんかしてないよ。ほら、トイレに入ってごらん。臭くないでしょ。うんこしてないから」と。下剤の入ったジュースを飲んだのは、実はウサギの方でした。亀は、ウサギにジュースを取り替えられるケースをあらかじめ予測していて、両方のジュースに下剤を入れておいたわけです。つまり、亀は飲んでいるフリをして実際にはジュースを一滴たりとも飲んでいません。下痢になったようにトイレに駆け込むのもただの演技で、ウサギがジュースを取り替えたことを暴き出す事に成功。下痢が始まる時間も下剤にセットされていて、二人が口論している間に、ちょうどいい頃合いにウサギの腹が痛み始めました。強烈な爆発音が発生し、大量のウンチがウサギの白い毛をウンチ色に染め、ウサギの足を伝ってドロドロのウンチがとめどなく流れ出しました。大小様々な爆発音と共に、飛び散るウンチ! こうなることを予測していた亀はトイレから早々に出て、トイレの外から、悪臭を放っている惨憺たる光景を見ていました。亀はニヤリと笑い、「俺はね、裏の裏のそのまた裏まで読み取って生きてきたんだよ。そうしなきゃ、この世界では生きられないんだよ。うさちゃんよ、もっと勉強しろ。ゲームイズオーバーだ。あばよ」。

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