いつかどうせ死ぬのになぜ生きていなければならないの?__生きる意味

生きている意味とは何か、
誰もが一度は考えたことがあるでしょう。
隣の芝生が青く見えるように、
他人様は楽しく生きているように見えます。
ところが、悩みがない人はいない、
とよく言われるように、
人間界は苦悩の連続です。
最後には死んでしまうのに、
どうしてみんな一生懸命生きているのでしょう?
私たちは人生の本当の意味を、
意識の奥深いところで知っているのかもしれません。

人間に生まれてきた喜び
 浄土真宗の法話で聞いたことがあるのですが、人間に生まれてくるというのは、宝くじの一等が当たるよりももっとすごい確率なんだそうです。畜生道にも、餓鬼道にも、地獄界にも生まれず、人間界に生まれてきたことは喜ぶべきことだとおっしゃっていました。また、死んでその次も人間に生まれるかどうかは何の保証もないのだそうです。教えの中には、人間に生まれてきて、しかも、生きているうちにしかできないことがあるそうです。
 浄土真宗では、人間が生まれてくることを荒波の海に投げ込まれることに例えられています。生まれ落ちた瞬間から、おぎゃーと泣いて自分で呼吸し始めます。学校や塾に行って一生懸命勉強します。就職すると、怖い上司に叱られながら一生懸命働きます。どんなに一生懸命やったとしても、大海の荒波は何度も何度もやってきて、人生は苦しいことだらけ。それでも生きていかなければなりません。法話の中で言われていたのは、どう生きるかという生き方を人生の目的と勘違いしているかたが多いとおっしゃっていました。多くの人は荒波を乗り越えるために、どうしたらいいかだけを考えているようです。よく言われるのが、困難は神様の試験であって魂を磨くための修行だ、という人がいます。私はそんなことはないと思いたいです。魂は宇宙エネルギーそのものであって、神そのものだと思います。神そのものである魂を磨かなければならないなんておかしいですよね。神様を磨くことになりますからね。磨かなければならない汚いものが魂だとする考えは、神に対する冒涜になります。浄土真宗では、宇宙エネルギーを阿弥陀如来としています。お寺のお坊さんの話によると、阿弥陀様は、手も足もあって人間のような姿をしていますが、本当はそのような姿ではないといいます。人間の姿に置き換えないと私たちにとって分かりにくいから、あのような仏像のお姿をしているとおっしゃっていました。ノンデュアリティーの宇宙エネルギーとよく似ています。結局どこの宗教でも、神とか仏というのは究極的にひとつなのかもしれません。お釈迦様の最終目的はお浄土に行くことであり、もうこの世界には生まれてこないことだと聞いたことがあります。私もこの世界はもうたくさんなので、本当にお浄土というところがあるとしたら、そっちのほうがいいですね(笑)。もう人生の後半を生きていますので、この年齢で良かったなと思います。あの頃は良かったなと思う時期に戻りたいとは思いません。その良かった時期からもう一度この苦難を味わうのはたくさんですから(苦笑)。この世では、苦しい時期と楽しい時期が交互にやってきます。人生に行き詰ったら、それを乗りこえて幸せになるにはどうしたらいいかについて、考え、悩み、悪戦苦闘しながら、より幸せになるための生き方を模索して、私たちは一生懸命生きているわけです。しかし、目に見える形で与えられる幸せは泡のようにすぐ消え去ります。どんなに素晴らしい物を手に入れても満足しないのが人間ですから。豪邸でお姫様のように暮らしても、タワーマンションで夢のような夜景をながめても、すぐに飽きて次から次へと欲望の歯止めは効きません。ノンデュアリティーでは、解放、つまり悟って、この世の苦難をそのまま受け取り、より苦難に耐えやすくすることを目指しているように思えます。浄土真宗では、生きている間に極楽浄土行きの大きな船に乗せて頂く事が生きる目的です。大海の荒波の中で苦しみや悩みの多い人生を明るく楽しく生きるために、その船に乗せてもらうのだそうです。大船に乗れる人は悟った人だと考えると、ノンデュアリティーの考え方に非常によく似ています。
 次々に起こる問題に翻弄されながら、この苦難を乗り越えるには、大きな何かに身を任せるしかない、と思う人は少なくないと思います。コロナ渦にあって、大切な人を失ったり、仕事を首になったり、自営の店が倒産したり、大変な時代に突入しているからこそ、私たちは目に見えない何か大きな力が必要なんです。極楽浄土行きの大船に乗せてもらいましょう。その船に乗るための切符はどこにもありません。阿弥陀さまは、困っている人を救いたくて、いてもたってもいられない方です。究極の苦しみの中で、「私を助けてください」と頼むことが切符ではないかと思います。

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