舌切りスズメ リメイク版・あなたはお金持ちになれる?

みなさま、こんにちは! どちらにも宝が詰まった箱があります。あなたならどっちを選びますか? 例えば、五億円が必ず当たる宝くじ、と、無限にお金を増やせる知恵が詰まった魔法の袋! この二つが詐欺ではなく本物だとしたら、どっちが魅力的ですか?

昔々、あるところに、非常に仲の悪いおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは、山で薪木を切ったり畑仕事をしていました。おばあさんは染物屋を営んでおり、たいそうな稼ぎがありました。それに比べておじいさんの収入はかなり少ないので、おじいさんはいつも、おばあさんに頭があがらないのでした。

ある日のこと、おじいさんが畑仕事を終えて帰ろうとしていると、妙な鳴き方の鳥の声が聞こえてきました。声のするほうに行くと、なんと羽を怪我した小さなスズメが草村にうずくまっているではありませんか。かわいそうに思ったおじいさんは自宅に連れ帰って治療をしてやることにしました。スズメにチュン子という名前をつけて大切に育てました。チュン子はどんどん元気になっておじいさんにとても懐きました。

 

おじいさんがあまりにもスズメを可愛がるので、年甲斐もなくおばあさんは焼きもちを焼きまました。

「おい、ジジイ! そんな一文にもならんスズメなんぞの世話をして何になる! そんなことをする暇があったら、あたしの仕事を手伝いなさい! 」
「おまえ、怪我をしたスズメがこんなに元気になったのを見て嬉しくないのか?」
「全然嬉しくないね! そんなスズメは今晩にでも生きたまま火であぶって焼き鳥にしてやる!」
「お前とは離婚だ!」
「いつでもどうそ、離婚届は箪笥に入っていますからね。あとはあんたのハンだけでОK」

 

おじいさんは、くやしさをぐっとこらえていました。おばあさんに見捨てられたら生きていけません。悲しそうなおじいさんの顔をみて、チュン子はおじいさんの耳元で言いました。

「明日は私を山に帰してください。まだ死にたくありません」
よく見てみると、チュン子の舌が短くなっています。
「あ~~~、チュン子の舌が!」
「うるさいから、あたしが切ってやったのさ。なんか文句ある?」
このおばあさんは、もう血の通った人間とは思えません。

 

翌日、おじいさんは、チュン子を連れて山に行こうとしました。そこにおばさんも来て、一緒に行くというのです。「本当にスズメを捨ててくるか、ちゃんと見たいからね」と、おばあさんは、いじわるそうな眼でチュン子をチラッと見たかと思うと、すぐにおじいさんの顔を見て心の奥底をさぐるような目をしました。

 

おじいさんが、空に向けてチュン子を放すと、チュン子は空高く舞い上がったかと思うとすぐに帰ってきて、おじいさんとおばあさんに言いました。「おじいさんとおばあさんにはお世話になったから、私からのプレゼントを受け取ってほしいです」と言いました。チュン子が飛んでいくほうに歩いていくと、竹林の中に大きなお屋敷が見えてきました。応接室に通されたおじいさんとおばあさんは、あまりの美しさに呆然と立ちすくみました。

 

黄金色に輝く大きな箱と、幼児でも下げられそうな薄汚れた小さな箱がありました。「どちらでも好きな方を持って帰ってくれろ」とチュン子が言いまいした。欲張りのおばあさんは、どちらも欲しいと言ってききません。欲のないおじいさんは、小さい箱をもらって帰ろう、と言います。そこで激しい夫婦喧嘩が始まり、おばあさんは、おじいさんが持っていた仕事道具のナタを取り上げて、おじいさんに振りかざしました。そこに目にもとまらぬ速さでチュン子が飛んで来て、おばあさんのナタで切られてしまいました。チュン子は血だらけになって地面に落ちました。ピクリとも動きません。チュン子は死んでしまいました。おじいさんはチュン子を山に埋めて小さな石を立ててやりました。

 

こんなことなら、おばあさんを連れてこなければよかった、とおじいさんは後悔しました。チュン子は死んでしまったのだから、箱は二つとも持ってかえってもいい、とおばあさんは平然とした顔で言いました。二人は大きな箱と小さな箱を持って家に帰りました。

 

大きな箱には金銀財宝がどっさり入っていました。小さな箱には、意味の分からない暗号のようなものが書かれた紙と地図が入っていました。おばあさんは小さな箱には目もくれません。おばあさんとの生活に耐えられなくなったおじいさんは、離婚届と小さな箱を持って出て行きました。役所に離婚届を出すと、おじいさんは一人暮らしを始めました。

 

おばあさんは、大金持ちになり、仕事を辞めてやりたい放題の生活にどっぷりつかってしまいました。毎晩のように酒を飲み、いい年をして若い男を囲い、まるで水を浴びさせるように男に金を貢いだんです。おばあさんがあまりにも世間に金を見せびらかすので、おばあさんの家には大泥棒が入り、おばあさんの財産を全部かっさらっていきました。

 

他方、おじいさんは、相変わらず汚いアパートに住んでいましたが、小さな箱に入っていた暗号を読み取り、秘伝のお菓子の作り方をマスターして小さなお菓子屋さんを経営していました。店は瞬く間に全国展開することになり、たくさんの弟子を迎えて幸せに暮らしましたとさ。

 

 

目の前にぶら下がったものよりも、目に見えないところに、チャンスと大金が隠れているかもしれません。いつも心のアンテナを張って周囲を観察しましょう。世界は今、どんなことに注目しているのでしょうか? 世界は今、何をほしがっているのでしょうか? 思い立ったが吉日です。スタート地点に立ったら、あとは突っ走るのです。

 

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